年頭予測2006(Mac編)

今年はMac復活の年になると見ている。最大の理由は、音楽ビジネスが大きな収益を叩き出すようになって、無理してMacで稼がなくてもよくなったから。

これまでのAppleは利益最優先でMacを売ってきた。具体的には、在庫減らしの為に極端な生産調整を行ったり、値崩れを防ぐために売れ筋商品を流す小売店を制限したりしていた。また、利ザヤの高いPowerMacを一台でも多く売るために、デスクトップは(安物モニタ使用の)モニタ一体型か、大型でお値段も結構なPowerMacしかない、といういびつな商品ラインナップとなっていた(唯一の例外であるCubeは、PowerMacと同価格帯の商品であり、例えこれにPowerMacが食われたとしてもApple全体の利益はあまり変わらない)。

この結果、AppleのMac部門は黒字を続けるものの、Macは新規ユーザの獲得に苦労するようになり、さらにはせっかくCRTiMacのヒットで獲得したユーザに祿なアップグレードパスを示せず、これらのユーザを手放してしまうことになる。これは、教育市場でAppleがシェアを獲得していない日本で特に顕著な現象であった。

しかし、昨年あたりからようやく、(かつてのAppleの言葉を借りるなら)「マトリックスを埋める商品」MacMiniの投入など、空気が変わりつつある。不振が続いていた国内Mac出荷台数も、昨年は一昨年よりも増加しているようだ。まだ2005/10-12月のデータが発表されていないが、1-9月の実績と国内直営店の増加から推定して35万台程度は出荷しているはず(おそらく今週か来週中にはAppleから発表があるので、そのときに直営店抜きの数字は判明する。これに直営店の数字・・・一昨年の実績が1.5万台だから大目に見積もって3万台程度を加えればおおよその出荷台数はわかる)。これは2004年の実績(29.6万台)を大きく上回り、2002年(36万台)や2003年(34.5万台)に近い数字だ。

とはいえ、Mac復権が日本の個人ユーザに波及するまでにはもう少し時間がかかると思われる。ここしばらくのAppleのやりかたを見ている限り、Appleはどうやら一般ビジネス市場への再参入を狙っているようだ。XserveやiWorkなんてまさにその為の製品だ。

exposeだって、ウインドウを沢山開いているときに特に有効で、個人用とよりもビジネス用途に適しているツールだと思う。仕事柄、一度に10毎以上のウインドウを開いて作業することが多い自分にとっては、Windowsにexposeが実装されていれば便利そうだと思う。一方家のMacではSafariとターミナルくらいしか使わないので、exposeのありがたみがよくわからない。せいぜい、デスクトップのアイコンを開いたり移動させたりするときに、F11を押して一旦全ウインドウを退避させるくらい。

OA用途って、メーラとブラウザとオフィススイート+αでなんとかなるわけだし、組織全体としての効率が優先で個々のユーザの嗜好なんてうっちゃっていいわけだから、最も参入障壁の低い市場だ。逆に、Microsoftの立場から見ると、一般ビジネス市場ってのは守り難い市場で、最近MSがサーバやデジタル家電にリソースをかけているという現状から見ても(もちろん稼げるうちは稼ぎにいくだろうが)あえて多大なコストをかけてこの市場を抑えにいかないような気がする。むしろ、Linux陣営に市場をとられるくらいならAppleに便宜をはかってくるのでは無いだろうか。それなりの見返りと引替えに、MSがAppleにWindowsAPIのソースの提供をすることだって十分ありうる。

なので、Macの復活はまずは欧米のビジネス市場から、と見ている。日本の、それも個人向け市場にその波が波及するのは早くて来年末、おそらくは再来年以降だろう。そのころに個人向けPC市場がまだ残っているかは疑問だが。

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