まちづくりから見た市民球場跡地開発

まちづくりから跡地に建てるべきものを考えるという無謀に挑戦してみる。

1. そもそも広島はどんな町なのか

工業都市であり支店経済都市、だよね。

2. 広島はどんな町を目指すべきか

工業都市や支店経済都市に依存しない大都市。だって工場はもっと人件費の安い所に移転するし、旅客機運賃の低価格化と新幹線の発達で支店も統合される傾向にあるわけで。

で、撤退必至の工場や支店の代わりに何をもっていかなきゃならないかっていうと本社ということになる。本社機能って会社の意志決定機関だから「高い教育を受けた、高い給与をもらえる人」の雇用がたくさん発生する。さらにちっちゃい会社だと法務とか税務とかをアウトソーシングしたほうが効率がいいので法律事務所とか会計事務所とかの(これまた高い教育レベルの人を必要とする組織の)需要も発生する。

要するに「広島県、島根県、愛媛県、山口県東部辺りを商圏とする普通の大都市」というのが目指すべきところじゃないかと思うわけだ。

3. 「普通の大都市」に何が必要?

  1. 質の高い人材を供給できる&そういう人たちの子供の進学先として適切な、レベルの高い大学

  2. そういう人の要求を満たせる多様な教養・娯楽環境

まず大学。広大もいいんだけど他にも選択肢が欲しい。特に情報工学以外の工学。広島周辺は製造業の本社も多いのに地元の人材供給源が限られるのはちともったいない。

で、教養・娯楽環境。大体高い教育を受けた人ほど趣味や嗜好は多様になりがちなわけで、そういう人たちの需要を満たせるのが大都市の強みでもあるわけです。でも広島は行政がなんもしなくても民間が勝手に環境を整えてくれるほど大きい町じゃない(たぶん札幌・福岡あたりがそういう町の下限)。でも多様性をなくしてしまうと、きっと大都市であることはできなくなる。

てことで、「多様な教養・娯楽環境をサポートできるまちづくり」ってのが大事じゃないかと思うわけです。

4. で跡地に何を置こう

跡地というのは一等地にある数ヘクタールのまとまった土地なわけです。ただし、

  • 都市公園なんで商業利用は限られる

  • 国有地なんで好き勝手に開発したけりゃ土地の購入が必要(国有財産法により他の土地との交換も基本的に不可)

  • 20m及び25mの高さ制限あり

という制約があるわけです。でもってキーワードは「多様性」。で多様性をサポートするには集客に苦しむマイナーなコンテンツ(でも多様性を確保するには絶対必要)ほどいい場所に配置すべき。

そう考えると広島市の提案の「イベント広場+文化・芸術施設」ていうコンセプトは正しい。「イベントなんて中央公園でもできるじゃん」っていう人もいるけど、予算が限られている状態でイベントを行おうとすると、宣伝にあまりコストを掛けずに集客できる跡地の方がいいのは当然なわけです。というか中央公園とかペイしない。

で、ただイベント広場を置くだけじゃなくて、イベント開催のコストを一層下げる工夫が必要。具体的には、

  • 雨天でもある程度イベントを可能とする、それなりの大きさの屋根付きスペース

  • トイレたくさん(フード系イベントだとトイレはすごく重要で、イベント開催者が仮設トイレを設置するのはコスト的に大変)

  • 飲用水と排水のための設備(フード系イベントだとあって損は無い)

  • 諸室(屋内向けのイベントとかあるし、イベントによっては更衣室や出演者控え室とかも必要でしょ)

とかあるとすごく便利。

文化・芸術(&教養)施設に関しては、図書館と美術館はすぐそばにあるからいいとして青少年センターとこども文化科学館の建て替えは必要かと。この二つもイベント広場と同様たぶん一等地に置かないと機能しない施設。あとこども文化科学館は拡張して大人も楽しめる自然科学博物館にした方がいいと思う。健康科学館とまとめてもいいかもしれない。あと集客に苦労している郷土資料館もここに移転するといいんじゃないかな。それと特別展示ができる屋内スペース。この辺りは跡地に確保すると色々便利。

あとスポーツ施設。プロアマ問わずいろいろなスポーツ観戦が楽しめるというのも大都市の魅力なわけです。でもって上で書いたように「マイナーなコンテンツほどいい場所に」が鉄則。体育館は大小一つずつ隣にあるし、武道場もある。足りないのは球技場。広域公園とかのスケジュールとか見るとあと一つくらい球技場があってもいいような気がするし(特にアメフトとホッケーが集中する第二球技場のスケジュールが厳しい)。

で、球技場で大事なのは「少人数のスタッフで数千人規模の観客をうまく裁ける」こと。基本アマチュアなんでボランティアスタッフも限られているわけです。ぶっちゃけバリバリプロ仕様のスタジアムとか使いにくいと思う。プロサッカーでもない限りゴール裏とか使わないし。Jで使えるようにするにしても、アマで使いやすいように使わないスタンドを簡単に閉鎖できる仕組みは絶対必要。

あとスタジアムを置くと自動的にトイレと更衣室がついてくるというのは広場イベントにとって何気にメリットだとは思う。

てことで、「イベント広場、文化・芸術施設、アマが使いやすいスタジアム」を作ってついでにスタジアムをプロが使えるレベルにする、というのがベストだと思うわけです。あくまでもイベントその他がメインでJリーグがついで。

正直言って、「サンフレッチェのスタジアム」を主眼においてる限り「プロサッカー以外のコンテンツ(アマチュアサッカー含)」は二の次になった提案になりがち(悪意はなくとも)。そうなると「プロサッカー以外」を重視している人から見れば「自分たちが蔑ろにされている」と感じるし、そうなったら彼らからの理解は得られないだろう。

「サンフレッチェの都合は後回しにする」ぐらいの感覚でいかないとみんながWin-Winになれるものは提案できないんじゃないかな。

ついでにいうと、高さ制限のあって大して広くない跡地だとそんないいスタジアムはできない(もちろん「今のサンフレッチェ」に必要なのは跡地なのも分かってるよ)。サンフレッチェはビッグクラブを目指しているけど、将来サンフレッチェがビッグクラブとして十分な収益をあげるためには跡地では足りないと思うわけです。

なら、「よりよいスタジアムに移転するための踏み台として適切な、低コストかつ必要最低限の(公共性優先の)球技場を跡地に」てのが今のサンフレッチェに必要なハコじゃないかな。跡地に中途半端にいいスタジアムを建てちゃうと、よりよいスタジアムが必要になったときに身動きがとれなくなりそうだし。今は「公共性優先のシンプルなスタジアム」で妥協するのがビッグクラブになるための近道だと思うんだけど。

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