長崎のスタジアム計画はかなり厳しい、という話

長崎では有志が都心近くの茂里町にスタジアムを提案しているのだが、その内容を見るかぎりかなり厳しいだろう。

スタジアム提案のサイトである『「(仮)茂里町スタジアム」プロジェクト[archive]の「プロジェクトについて[archive]というページには「敷地面積は約16000㎡。千葉県のフクダ電子アリーナと同じ広さです。収容観客席数は20000人と考えています」という記載がある。

うん、敷地面積と建築面積を取り違えている。16000平方メートルっていうのはフィールド部分を含まない建築面積なんで、フクアリを作るために必要な敷地面積はこれにフィールド分約10000平方メートルを加算した26000平方メートルくらい。つまり10000平方メートル足りない。また、「建設予定地について[archive]というページにある情報からは川沿いにスタジアムを建てることになっている。スタジアムは中部下水処理場の跡地に作ることになっているが、Googleマップとか見ると、川沿いには「茂里町クリーンセンター」や「長崎市動物管理センター」といった下水処理場以外の建物があるんだけど大丈夫だろうか。

てことで調べてみた。ソースは長崎市議会の会議録

まず中部下水処理場について。平成24年第4回定例会5日目(2012/9/19)の荒巻市民生活部長の発言(発言61)によれば、中部下水処理場は平成35年度末に処理機能を廃止するとのこと。ただし、処理場の土地すべてが空くわけではなく、他の処理場に汚水を送るための流量調節槽を配置する必要があるため、処理場の総面積28000平方メートル中12000㎡は下水施設として残す必要がある、とのこと。

下水処理場の北に隣接する茂里町クリーンセンター(し尿処理場)は、平成23年建設水道委員会(2011/9/14)の中川事業部長の発言(発言183)によれば平成27年度末に廃止される。また、同委員会の川崎事業管理課長の発言(発言185)によれば、中部下水処理場のうち東側にあるポンプ施設は存続で、西側(衛生公社と動物管理センター地下)にある水処理施設も存続。敷地の中央部のみが廃止でこれが16000平方メートルということか。

また、下水処理場の北東にある長崎市障害福祉センター(もりまちハートセンター)は、平成26年度教育厚生委員会(2014/12/5)の辻田障害福祉課長の発言(発言37)によれば、2014年末の時点で建設から22年。下水処理場の廃止が平成35年度末つまり2024年3月だから素の時点で31~2年ということになる。耐用年数的には微妙かな。スタジアムのプロジェクトにある図でもあったり無かったり。

ということでまとめると下図のような感じ。障害福祉センターを移転できるなら確保できるのは175x125メートルくらい。とはいえ動線的にギチギチにスタジアムを詰めるわけにもいかないので多少余裕をとって160x110メートルくらいかな。まあラグビーができる程度にフィールドを130x80くらい確保するとすると… うーんJ2の10000人級ならなんとかなるかな、といったところか。

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結論としては障害福祉センター(これも都心に無きゃいけない施設だよね。「スタジアムの為に施設移転」とかはすごく反発がありそう)の移転がうまい具合にまとまるという幸運が無ければ無理。あったとしてもJ2規格が精一杯ということになる。

(2016/12/31追記)プロジェクトのサイト(http://n-footballstadium.com/)が消滅している。whoisを見てみると今年の9月に失効してるっぽい。ブログFacebookTwitterはまだ残ってるけどそれぞれ2014年10月、2015年6月、2015年1月が最新の更新となっている。(追記終わり)

(2018/2/24追記)この記事を最初に書いた後の話になるが、下水処理場の南に隣接する三菱重工/三菱日立パワーシステムズ幸町工場の閉鎖が決まり、その跡地の利用について昨年V・ファーレン長崎の親会社になったジャパネットたかたが手をあげたとのこと。こちらは合計7万平方メートル、長方形の部分を取り出しても290x180メートルであり観客スペースや通路をゆったり(観客一人当たりの建築面積0.75平方メートル+外周に少なくとも幅10メートルの待機エリア確保)とったとしても24000人程度のキャパが可能。ちなみに長辺の方向が北西⇔南東でスタジアムに最適(JFAのスタジアム標準ではメインスタンドを西に置くこととなっているが、最新のFIFA基準では南西に置くのが最適とされている)。

しかし思うにスタジアムって本当にいい土地が出てくるタイミング次第だよなぁ、と。(追記終わり)

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Note

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