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MYST再考

by ktj posted at 2018-12-15 18:10 last modified 2018-12-16 16:26

9月の記事で恐縮だがGIGAZINEの「歴史上最も影響力の大きなゲームのひとつ「MYST」はなぜゲーム開発者から賛否両論なのか?」を読んだのでいろいろと思う所を。

まず、タイトルに偽りあり。タイトルでは「賛否両論」と書かれているが記事中では「MYSTを称賛するゲーム開発者の声を見つけることはできなかったそうです」であり、否定一色である。

MYSTというゲーム、当時のアメリカのPCゲーム系メディア(Computer Gaming World誌やPC GAMER誌)からは肯定的に評価されてはいなかった。「MYSTのようなゲーム」という言葉はクソゲーと同義ですらあった。私自身、1999年頃に書いたレビューでは否定的に捉えている。ストーリー性の欠如や操作性の悪さもあり「アドベンチャーゲームとして評価するなら」クソゲー扱いもやむを得ない、とも思う。当時のメディアやゲーム開発者、或いはアドベンチャーゲームファンも同様だったのではないだろうか。Macユーザは好意的に評価しているようだが、当時のMacユーザはゲームを他機種ユーザほど好んでいるわけではない(ゲーム目的ならAmigaかPCを使っている)。

でも売れた。グラフィックスとサウンドは間違いなく当時のゲームとは一線を画していた。ちょうどCD-ROMの普及期でもあり(Macに関していえば最初のCD-ROM内蔵機種が1992年9月に登場したPerforma 600CD)、マルチメディア時代を象徴するソフトでもあった。そして、MYSTライクなゲームが量産されるようになった。これらのMYSTライクゲームはMYSTと比べても面白くなく、PCゲーム系メディアのレビュアーのフラストレーションはますます増大することになった。

一方で旧来の(膨大な量のスクリプトを「読ませる」タイプの)アドベンチャーゲームの開発は、(日本では80年代にそうなっていったように)徐々にではあるが低調になっていった。シナリオ量の増大やアニメーション・スピーチの追加に伴うコスト増に見合った売上が見込めなくなりつつあった、というのも一因だろう。アドベンチャーゲームの衰退は時間の問題ではあったが、MYSTのヒットとMYSTライクゲームの濫造がそれを早めてしまった。

アドベンチャーゲームファンや開発者に取ってのMYSTは「ジャンルを殺した」とさえいえるものであり、それ故に彼らはある種のヘイトをより一層募らせていたように思われる。一方で元ネタ記事"Myst at 25: How it changed gaming, created addicts, and made enemies"の著者であるBenj Edwards氏(1999年に高校卒業とのことなのでMYSTのWindows版が登場した1994年は中学一年生)のように比較的若く、それまでストーリー性の高いアドベンチャーゲームをプレイしていなかった層にとってはさほど違和感のないものだったのだろう。(なお、Edwards氏自身はクラシックアドベンチャーゲームに対するリスペクトも持っている)

個人的には、MYSTというゲームはターニングポイントというよりはある種の特異点だったように思える。DOOMやDiabloのようにその後も続く主流ジャンルを作り上げたわけではなく、市場を引っ掻き回したけどフォロワーは定着しなかったわけで。


さて、この記事を書くにあたり、実に10年ぶりくらいにWindows3.1版のMYSTをプレイしてみた。MYSTは640x480の画面解像度を前提としているのだが、より細かい解像度でも動作可能である。ただしフルHDなどのモニタで見ると非常に画面が小さくなってしまう。SCUMMVMというオープンソースのゲームエンジンがMYSTをサポートしているのでこちらでプレイするのがよいだろう。SCUMMVMならMacやLinuxでもプレイ可能だし画面の2x拡大にも対応している。ただSCUMMVMでMYSTをプレイする場合、(セーブ・ロード・ゲーム終了等を行う際に操作する)メニューバーが表示されない。ではセーブしたいときはどうすればいいかというと、F5キーを押すとメニュー画面が表示されるのでそれに従えばよい。

プレイしなおして感じたことだが、MYSTというゲームは基本的にはパズルゲーム(或いは脱出ゲーム)なのだろう。ストーリーはプレイヤーにパズルをさせるための枕でしかない。ミスト島や4つの時代もパズルありきの舞台である。そしてパズルゲームとしてみると…うーん、チャネルウッド時代など優れたパズルもいくつかあるのだが、全体的には子供向けパズルの域を得ないように思える。あと、4つの時代のパズルを解く順番はプレイヤーの自由なのだが、セレニティック時代はメカニック時代で得られる知見がないと解き方をまず思いつけないようになっている。一つの時代にいくとそこのパズルを解き終わるまでミスト島に変えれないシステムなのでメカニック時代より先にセレニティック時代にいってしまうと詰まってしまう。

そして操作性はやはり悪い。画面内をクリックすることで移動する仕組みなのだが、紙芝居的に画面が切り変わるため想定どおりに移動できたか判別しにくい。例えば「振り返る」動作(マウスポインタが横向きの指になった状態でクリック)の場合、90度移動なのか180度移動なのかは場面によって異なるため、自分のいる場所を見失ってしまうことがしばしばある。特にチャネルウッド時代の木の上のシーンは同じような画面ばかりのためマッピングが大変だった。この操作性についてはrealMYSTでは改善されているのでいまからMYSTをやるならこちらの方がよいだろう(英語版のみだがSteamGOG.comで入手可能)。

あと操作性といえば、セーブデータからゲームを再開する場合、その時代のスタート地点に戻されてしまうのはいかがなものかとも思う。

640x480、256色という当時の環境を前提としていたグラフィックは、1995年頃であれば革新的ではあったのだが今見るとさすがにタイリングの雑さが目につく。同じ256色でもDOSの320x200のカートゥーン調の絵なら今でも通じるのだが256色で写実的なカラーグラフィックを実現するというのはやはり無理があったのだろう。

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