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日下公人事例集

by ktj last modified 2009-04-26 12:06

日下公人(くさか・きみんど)という人物をご存じだろうか。 多摩大学名誉教授、兼社団法人ソフト化経済センター理事長(ソフト化経済センターは2005年末をもって解散)、兼東京財団会長である。長銀出身のエコノミストとして良く経済誌(特にPHP系の)に登場するのでご存じの方も多いだろう。

講談社などから多数のビジネス本を出しており、ファンもけっこう多いようである。また、「新しい教科書をつくる会」の賛同者でもあり、いわゆる保守系の論客でもある。同じく保守系の論客である渡部昇一、谷沢永一、竹村健一、小室直樹らと仲が良いらしく、彼らとの共著も多い。

さて、この日下公人氏、他の論陣とは一風異なる特性がある。それはどう好意的に評価しても「思考能力が欠落している」としか言いようの無いことである。氏の主張のほとんどが「目の前の事象に対してのみ着目する、一段論法である。従って氏の主張は極めて明解なものとなりやすいのだが(そこが人気の秘訣か?)、その実トンデモでもある。もちろんわざとその様な論法を展開している可能性もあるが、氏自身の語る「武勇伝」を見聞きする限りでは「やっぱり何も考えていないんじゃないか?」としか思えなかったりする。

そう、氏はいわば「言論界のウド鈴木」とも言うべき類まれなる天然ボケキャラなのである! われわれ日本人は氏の一挙一動にもっと着目すべきだろう。以下に、日下氏のトンデモぶりを如実に示す逸話を思いつくままに書いてみようと思う。

長銀で国際派バンカーを養成しようとする

フォーブス日本版2000年11月号に掲載されたインタビューの中で、日下氏は以下のようなことを語っている。立ち読みしただけなので、詳細は忘れかけているが、こんな内容だった。

「私が会社員だった頃、上に『国際派バンカーを養成するために入行10年目の行員に100万円を支給し、一か月間海外に行かせてみてはどうか』と提言した。役員会議でも議論されたが組合側の『休みが増えるのは良いがレポートの提出を義務づけられるのは困る』という反対にあって、結局現在のリフレッシュ休暇の元になった。」

この発言は氏の特徴を如実に表していると言えよう。役員会議に掛けられるくらいだからおそらくこの事件は氏の部長就任後のことだろう。となると70年代後半から80年代前半のあたりと見て良いだろう。当時1ドルは200円以上したはずだ。てことは100万円はせいぜい5000ドル。たったの一ヶ月と5000ドルで国際派エコノミストが育つわけ無いでしょう。

並の人間ならここでフィルタがかかって別の手法を検討するだろうが、そうせずにいきなり口にしてしまうのが日下氏の日下氏足る所以だろう。たいしたものである。しかしよく考えたらそんな出鱈目なアイデアを何ら修正することなく役員会議で討議してしまう長銀もかなりすごい組織ではないだろうか。後の世の長銀の行く末を暗示しているようでもある。

いくら食料が汚染されていても日常の摂取量なら問題ない

HP Open Avenue Web 99年四月号より。

私たち現代社会に生活する物は、デジタル化された数値データを盲信しがちです。(中略)たとえば、つい最近あった埼玉県所沢でのダイオキシン騒動。(中略)あの放送で提示された何ピコという数値はどれほどの意味をもっていたのでしょうか?

ここまではおっしゃるとおり。しかし、ここから日下氏はこのような結論に至る。

私たちはただ、「どんなものにせよ、食べ過ぎれば危険だ」ということをアナログ的に判断していればよいのです。

数字を盲信するのも、直感で判断するのも似たようなもんだとおもうのですが。

所得倍増計画は、公害4倍増計画である

これもHP Open Avenue Web 99年四月号より。

それは私が29歳から30歳にかけて、経済企画庁総合開発局へ2年間出向したという経験です。(中略)そこで私は、数値データを過信することへの疑問を抱き始めたのです。
当時の私は、こう考えました。
「所得が倍増するということは、給料が2倍に増額されることである。では、私たちの幸福感も、それに応じて2倍になるのだろうか?」(中略)そこで私は、「所得倍増計画は、公害4倍増計画である」と言いましたが、ある県庁の人は所得倍増ならぜひ黒煙を四倍浴びたいと言いました。

「2倍」とか「4倍」とかいう「数値データ」にこだわっているのはどうみても日下氏の方だと思うのですが。何かこう、ひねくれた発想をするませた小学生の姿がダブってしまいます。ここから現在環境の世界で盛んにいわれている"sustainable development"を導き出したのならすごいのだが、単に「所得倍増はいかん」で止まってしまうあたりが日下氏らしくて微笑ましいですね。

先進国のエリートは英語など出来なくてもよい

竹村健一・渡部昇一との共著「痛快鼎談 僕らはそう考えない」より。話が日本の英語教育に及んだとき、渡部氏が「僕は独学で何とか読み書きできるようになったけど、英語を使えるようになれない日本の教育は問題」(そりゃ英語学専攻の渡部氏が英語できなかったら問題ですがな)というような意味のことを。日下氏、それに反論して「日本は類に見ない翻訳大国。発展途上国のエリートならともかく、日本では英語は必要ない」と。

いや、私別にエリートでもなんでもないですが、仕事で英語の資料を当たることって結構あるのですが。いくら日本が翻訳大国とはいえ、翻訳されていないものも膨大にあるわけで。

そもそも、日下氏が高等教育を受けていた昭和20年代って、日本が発展途上国だった時代なんですが、日下氏「スウォードフィッシュ」(講談社文庫「大東亜戦争、こうすれば勝てた」26ページを参照)レベルだしなぁ。このやりとりって、結局日下氏が自分の英語能力のなさを正当化しようとしているだけじゃない?

(参考)日下氏の経歴

  • 1930/12:兵庫県に生まれる。
  • 1955/3-4:東大経済学部卒業。長銀入行。
  • 1960/3:経済企画庁出向。
  • 1975/2:業務開発第一部長。
  • 1983/6:取締役業務開発部担当。
  • 1984/6:ウィルソン研究所(ワシントンDC)客員研究員。
  • 1984/10:(社)ソフト化経済センター専務理事。
  • 1985/6:長銀取締役退任。
  • 1987/2:長銀顧問就任。
  • 1989/4:多摩大学教授。
  • 1993/5:(社)ソフト化経済センター理事長。

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